2022.04.20
私のパラダイスは「古着屋 西海岸」
昭和30年生まれ 65歳 週に2日、天神の会社に勤務夫(定年退職)、長女(社会人)の3人家族。 家事は卒業しつつあり、趣味的にキッチンドリンキングしつつ夕ご飯を作る。 フクオカエフェクトというサイコーな園芸店を見つけたので、庭仕事に励む毎日(ちょっとパラダイス)
西海岸を知ったきっかけ
もう20数年ほど前になるかな。
久留米に住んでいる古い友人が「あんた、知ってる?西海岸」って言うので「なにそれ?」って聞いたら、「ものすごく面白くて、掘り出し物があって、びっくりな安さですごいんだよ」と自信満々で言うので「じゃ連れてって」となった。
その友人は、只者じゃない女性で、美術の学校を出て、小さな子供残して単身イタリアの美大に留学して、イラン出身の学友から貰い受けた「ギャッベ」や「キリム」など日本ではまだお目にかかったことがないカーペットを持っていたりしたので、「この人が興奮してるなら」と連れて行ってもらった。
初めて行った西海岸は、久留米店だった。
西海岸の印象
冬だった。学校の倉庫のような建物の中に、大量の古着が積まれていた。
今でこそきちんとハンガーにかけられて整然とした売り場になっているけれど、あの頃が、ワゴン売り、男女、セーター、コート、パンツ程度のざっくりした分け方で、まるで「ごみ」のように、クリーニング待ちの服の森のようだった。
量に圧倒されて立ち尽くすだけの私。
すごいやと思ったこと
友人が「探せんやろ。慣れんとね」とセーターのコーナーに私を引っ張っていって、山盛りセーターの山をかき分けて、「ほら、これ。ラルフローレンの編み込みセーター」と取り出して、380円の値札を見て、完全ノックアウト。
その日はクラクラして、ほとんど探せないままに終わった。
聞けば、元々、ボロ雑巾(ウエス)を作るために日本全国から古着屋古布を回収していて、雑巾にするのはもったいないのを古着屋に出しているのだとか。まだインターネットで検索できる時代ではなかったので、西海岸の全貌はほとんどわからず。柳川に大きいのがあると知ったくらい。
その後の付き合い
大の仲良しでおしゃれっ子で、当時はスタイリストをしていたMちゃんに、西海岸の話をしたら、さすが情報通のMちゃん、「柳川にあるのは知っている」「古着着物の販売もしている」と言うので、西鉄電車で柳川店に一緒に行くことに。まだ寒い頃だった。
柳川店は白亜の殿堂型体育館。川下りのお花側の船着場側に立っていた。
空調の関係か、うっすら柳川名物鰻のせいろ蒸しの匂いが館内に漂っていた。
きちんとハンガー分類された、全く久留米店とは違う雰囲気で、コート類の豊富さに息を呑んだ。コートも当時は「ブランドだから高い値段をつける」といった今の悪しき慣例はなくて、バーバリーだろうとそこら辺のノーブランドだろうと全部八百円の均一価格。3時間かけてコート1枚とセーター1枚をお買い上げ。あまりの桁違いの安さに、どこかが麻痺して平常心で買い物できる段階ではなかった。(今、振り返れば)
福岡県内の西海岸を制覇したいという思いが募って、車の免許を44歳で取得。西海岸は、車で行くしか手がない立地の店がほとんどだった。 免許を取って7日目に久留米の友人を誘いがてら、大川の西海岸へ行った。
これまでに、15店舗を超える西海岸に行くうちに、私に取って「良い」ものが置いてある店と、全く使えないゴミしかない店があることがわかって来た。
行く店が固定してきた。
西海岸の魅力 ときめき
昔ほど「掘り出し物」が減っては来ているものの、時々「これはーー!」と言うものに出会える。
西海岸の方も、ブランド勉強しているので、首の後ろについたタグを見て瞬時に値付けするらしく、タグでは見えないところにあるブランドマークはチェック漏れしていることがあり、そこからお宝が見つかることもある。(首のタグが「バザール」になっていて、中のタグが「Cラクロワ」のワンピースが八百八十円など)
販売員が若いためか、昔のブランドをよく知らず、見落とすケースがある。去年の夏、イッセーミヤケのシルクのスカート、多分30年くらい前ので、ロゴも古いの。あまりにも美しい色と柄で立ち尽くしてしまったほど。 ストールは驚きの宝庫。パシュミナやカシミヤなどがほぼ380円〜580円。
刺繍や繊細な手仕事が施されたアートのようなものも、ごくたまに見つかります。
中でも鳥肌ものは、ビキューナのストール。アルパカの仲間の獣毛であらゆる毛製品のなかで感触、風合い、光沢などにおいて最高級品とされる「幻の超高級繊維」です。それが、古い三越のタグがついて、ビキューナの姿がプリントされていたのを見つけた時は、気が遠くなりました。
なにが楽しいかって
購入後のお楽しみもたまりません。
買ってきた服のタグをネットで検索するんです。
そして出てきた新品価格を見て、あら、0が二つくらい安いじゃない、ヘッヘッっへととろける気分に浸れます。
買い物上手な私にうっとり。
だんだん目利きになる私にうっとり。
ブランドの勉強も楽しい。
刺激が欲しい時に足が向く
マンネリ気分に陥ったり、なんだかこのところつまらないと言う時の気分転換にピッタリな西海岸。悲しかったり辛かったりした時に、なにも考えずにただものを探すと言う行為は、マイナスな感情を忘れさせてくれます。気に入ったら躊躇なく買えるし。
ピラ〜と車で10分で行けるパラダイス。大好きだ。